伝統と鍛錬が紡ぐ 精悍な美のルーツ島に生きる沖縄空手を堪能する舞台へ(2)神谷武史×ミゲール・ダルーズ

画像1

(全5回連載|第2回目)
10月3日から公演される「沖縄空手御庭」。
『観客に本物の空手を見せる』ために試行錯誤された本作の構成・演出について、演出家/神谷武史氏とプロデューサー/ミゲール・ダルーズ氏にたっぷりと語ってもらった。


プロフェッショナルたちが生み出す、感動の相乗効果

画像2

――今回の舞台は空手の演武を軸に、映像や沖縄芸能・音楽を積極的に取り入れた構成ですよね。

神谷今回の舞台を作るうえで『空手は無音の世界でやるもの』という今までのイメージが、ものすごい大きなハードルだったんです。でも、それを壊すのではなくて、積み上げてきた土台に一段加えるような演出をしたかった。

ダルーズこれまでの空手の舞台演出って、照明の色がちょっと変わる程度。もちろん空手の型は大事なんだけど、プロの意見を取り入れた舞台を作ることで、舞台の必要性やそのために必要な努力があるという意識に変わることが、空手家たちにとっても重要だと思ったんです。

神谷だからエイサーも琉球舞踊も演奏も、そのへん歩いている人を連れてくるわけじゃなくて。その道を極めてきたプロたちと競演することで、空手家たちの演武にプラスされるものにしたんです。演武者には今までにない感覚を舞台で体感してもらいたい。その“うわぁー”ってなった感覚を、見ている人は2倍になって感じるはずですから。

――それぞれの道のプロフェッショナルが同じ舞台に立つ・・・何だかワクワクします!

神谷高質なバイキングですよ! 1つの舞台でこれは贅沢だと思います(笑)。


“観客に伝わる舞台”をどう作るのか

画像3

――ほかにも国内外で活躍されている演出家の富田めぐみ氏をはじめ、様々なジャンルのプロフェッショナルが制作に参加していますよね?

神谷めぐみさんは演出という道で長くやってきている方なので、やっぱり見る側の気持ちをすごく理解しているんですよね。アニメーション映像の演出も、きっと僕らオジサンだけでやってたら出来なかった(笑)。

ダルーズ(笑)。
やっぱりプロのノウハウと一緒に舞台を作るのが重要なんじゃないかな。空手家だけでやるんじゃなくて。

画像4:伝統を受け継いでいく子供たちの演武も、今回の舞台には欠かせない要素だ。
伝統を受け継いでいく子供たちの演武も、今回の舞台には欠かせない要素だ。

――演武の実演とアニメーション映像による演出には、どういった意図があるんですか?

ダルーズ沖縄でよくある空手の演武は、ほとんどが“ただの演武”。解説ナシ。見ている観客は型の意味も分からないし、その裏にどれだけの稽古があったかも分からない。そうじゃなくて、空手の精神・歴史・文化・・・色んなものを伝えたい。それなら誰にでも受け入れられるようなアニメーションピクチャーで伝えてはどうかと。

――なるほど。

ダルーズ実は解説をしながら演武をしたこともあったんだけど・・・ただ喋っているだけで、観客は説教とか講座うけてるみたいになって。はっきり言って面白くなかった(笑)。

神谷うん(笑)。

ダルーズ今回の舞台に司会はいなくて、映像に出てくるタンメー(おじいさん)が司会の代わり。タンメーが空手の文化・精神を道場に来た子供に伝えていく。アニメーションと実演を交互に見せて、観客が気楽に見られるよう工夫したんです。

画像5

神谷オープニングは、タンメーが子供の頃のシーンから始まるんです。白黒の絵で、そばにちっこい木があって。次におじぃになったシーンになると、その木が大きくなってる。数分間で時の経過をどう見せるのか、そこはプロの仕事だなと。映像を作ってくれたククルビジョンの宮平さんはじめ、制作の全てにおいてプロが関わっているというのは、自分たちにとってすごく大事だと思っています。

(第3回へ続く)


神谷氏×ダルーズ氏インタビュー次回は、自身も演者として舞台に立ってきた経験を持つ神谷氏が、演出家として本作にかける想いについて深堀していきます。